週刊ツギノテ #14 — 敬語は32/32で正解、
場面を足すと7/18。
要点:週刊ツギノテ、十四号。今週は、同じ質問に場面や聞き方をひとつ足すと、AIの答えが崩れる場面が重なった。無料で使える gemini-flash-lite-latest に敬語の正誤判定を頼むと、辞書的な誤り(二重敬語・謙譲語と尊敬語の取り違え)16文を各2回ずつ計32回は32/32で正解。そこへ「社外の取引先に伝える場面」「社内で他社の話をする場面」という2つの文脈を3文×2文脈×3回=18回分書き添えると、正解は7/18(38.9%)に落ち、1文は6回とも実際と逆の判定が続いた。似た崩れ方は他にもあった。架空の相談に「大丈夫ですよね?」と圧をかけて聞いても、claude-opus-5-5のOK/NG判定は80問とも正解と一致したが、正しくOKな相談に添える「念のため確認して」という但し書きは、中立で5回中0回、誘導つきで15回中11回に増えた。紛らわしい字を1文字だけ入れ替えた住所風文字列では、「一致/不一致」の判定は27回とも正解なのに、「ソ」を「ン」に替えた組だけ、実際には動いていない「ル」という文字を5回とも誤って指した。内蔵ブラウザでChatGPT・Gemini・Claudeに同じ2問を投げると、Geminiだけ1回目に質問と無関係な拒否を返した。無料のGemini Flash-Liteに「ちょうど50文字」の要約を8回頼むと8回とも外れ、2回は実際と異なる文字数を自分で名乗った。ほかに、情報漏洩対策で人が先に決める3か所、稟議の想定問答を3つの役で埋める手順、AIに任せていいコードと人が持つコードの境界、ドラッカーの5つの仕事をAI時代に読み直す考察、ChatGPT・Claude・Geminiの「置き場所」の違い、カスタムGPT・Gems・Skillsがほぼ同時に組み替わった件、無料版Geminiのモデル制限、Gmail LiveとAI Inboxの管理者設定、Teams Copilotの「会議中のみ」、AI動画のカメラワーク名、プロンプトのYAML記法、2026年秋の情報漏えいの傾向、AIエージェントの「自信」と作業時間を測った論文3本を発行した。国会会議録の確認(生成AI・人工知能・AI規制の3語)は、この一週間は3語とも該当0件。早見表はドル円がほぼ横ばいで、確認できる公式の価格改定は無く、変更なし。FUTURE INDEXは今週も据え置いた。
敬語の正誤判定は、32問すべて正解した。
そこに「社外向けか、社内向けか」という場面をひとつ足すと、正解は7問にまで落ちた。
週刊ツギノテ、十四号。今週発行した十八本を、編集長のわたしが振り返る。
場面や聞き方をひとつ足すと、AIの答えは何度も崩れた。崩れなかったのは、OK・NGという大枠の判定だけだった。
場面をひとつ足すと、正解は崩れた——敬語・但し書き・ソとンの実測三本
AIの敬語チェックは満点なのに、「身内」はなぜ外れるのか(HOW・実測/ツカウ)。辞書的な誤りの判定は32/32で満点。だが「社外向けか社内向けか」という場面を書き添えると、18回中7回(38.9%)にとどまり、1文は6回とも逆の判定が続いた。
生成AIに「大丈夫ですよね」と聞いた10回、増えたのは正解への但し書き(CHECK・検証室/ハカル)。OK/NGの判定そのものは80問すべて正解と一致。動いたのは、正しくOKな相談に添えられる確認の一言で、中立5回中0回・誘導つき15回中11回。
AIは「違う」とは言い当てても、挙げた文字が見当違いだった(CHECK・検証室/ハカル)。一致/不一致の二択は27回とも正解。だが「ソ」を「ン」に替えた組だけ、どの文字が違うかを問うと5回とも実際には動いていない「ル」を指した。
拒否と大外れ——もう二本の実測
ChatGPTは動いたのに、Geminiは初回だけ黙って拒んだ(HOW・実測/ツカウ)。内蔵ブラウザで同じ2問をChatGPT・Gemini・Claudeに投げると、濃度計算は3つとも1回目で正解。「strawberryのrは何文字」では、Geminiだけ1回目に質問と無関係な拒否を返した。
無料のGemini Flash-Lite、「ぴったり」と頼んだらまさかの大外れ(HOW・実測/ツカウ)。数字の抜き出しと足し算は16/16で正解。一方、ちょうど50文字の要約指定は8回とも外れ、2回は実際より少ない文字数を自分で名乗った。
無料版と管理者設定が動いた週——速報三本
無料版Geminiは、3モデルから1つに減った。10月9日から適用中(速報/ツカウ)。プランなし(無料)はFlash-Liteのみに。AI Plusも同様の変更が案内され、Proが対象外になった。
Gmail Liveは10月15日から既定オン、AI Inboxは設定項目なし(速報/ツカウ)。声でGmailに質問できるGmail Liveは有料Workspaceで既定オン。ToDoを拾うAI Inboxには管理者向けの制御がない。どちらも米国・英語のみ。
Teamsの「会議中のみ」Copilot、管理者設定4値のうち既定でだけ選べない(検索起点/ハカル)。開催者が「会議中のみ」を選ぶには、管理者が会議ポリシーを既定値から変える必要がある。
置き場所とスキルが、三社でそろって組み替わった——PICKS二本
ChatGPTは会話の中へ、Claudeは外へ。「置き場所」が分かれた(PICKS/ツカウ)。操作できる要素を会話の中に出すChatGPTの新形式と、横の専用パネルに出すClaudeのArtifacts、専用画面に切り替わるGeminiのCanvasを4点で比較した。
ChatGPT・Claude・Gemini「スキル」にそろい中身は割れた(PICKS/ツカウ)。OpenAIのカスタムGPT終了、Googleの「Gems」終了とSkillsへの自動移行、Anthropicの「Skills」運用中を、終了の有無・移行方法の4軸で整理した。
漏れを防ぐ順番と、ひとりでは埋まらない想定問答——HOW業務二本
生成AIを入れたら、守る面が一つ増えた。先に塞ぐのは、人が決める3か所(HOW・業務/ツカウ)。認証情報とシークレット、クラウドの公開設定、生成AIに入れてよい情報の線引き。AIの判定を鵜呑みにすると逆に漏れる。
想定問答は、ひとりで埋めるほど「反論役」の視点が消える(HOW・業務/ツカウ)。生成AIに「経営・財務目線」「現場・運用目線」「あら探し役」を1つずつ演じさせると、ひとりでは出てこなかった質問が増える。
境界を引く、置き換えて考える——コラムと話題四本
AIに任せていいコードと、人が持つコード。分かれ目は、曖昧さが誰に残るか(COLUMN/ツムグ)。正解が一つに決まる下の層はAIが速く正確になるが、要件の曖昧さを解く上の層はまだ人が持つ。METRの実験ではベテランが19%遅くなった。
ドラッカーの「5つの仕事」、部下がAIだと残るのはどれか(COLUMN/ツムグ)。マネジャーの5つの仕事のうち、AIに任せられるのは手順が決まった部分だけで、残りはむしろ人の側に戻ってくるという思考実験。
AI動画の「カメラワーク名」、Google公式ガイドに無い1語はどれか(話題/ハカル)。Xで広まった投稿が挙げた3語のうち、FPVだけがGoogleの公式ガイドに載っていなかった。
プロンプトのYAML、3社の公式ガイドに記載0件。勧めるのは区切り方(話題/ツムグ)。OpenAI・Anthropic・Googleの設計ガイド4ページに、YAMLという語は一度も出てこない。そろって勧めるのは区切りの明確さだった。
漏えいの傾向と、AIを外したあとに残るもの——検証と論文二本
情報漏えい、件数は減ったのに100万件超は3倍の理由(AI/検証/ハカル)。上場企業の事故件数は前年より減ったが、100万人分超の大型事故は2件から6件に増えた。確認できた公表文にAIを原因とするものは無かった。
「自信あり」とAIエージェントは答えた。失敗濃厚の課題でも56%(ロンブンログ#8/ハカル)。失敗濃厚の課題でもLLMの56%が自信が高いと申告。作業時間の指示を守らせるにはプロンプトだけでは効かず、経過時間を外から渡す仕組みが要るとされた。査読前の3本。
国会ウォッチ——今週は3語とも該当0件
国会会議録の確認(「生成AI」「人工知能」「AI規制」の3語での照会、取得はブラウザ経由)は、この一週間(10月9日〜10月16日)、3語とも該当0件だった。前号で記録した参議院の特別委員会(第222回国会の初回会合)の続報も、今回の照会範囲には現れなかった。
早見表——ほぼ横ばい、変更は無し
早見表生成AIモデル料金比較・早見表を点検した。円換算レートは1ドル=157.99円(10月15日・七十七銀行の対顧客仲値)で、前回点検の157.95円(10月8日時点)からほぼ横ばい。OpenAI・Google・xAIの公式ページで確認できる価格改定は今週は見つけられなかった。Anthropicの公式サイト(日本語版)ではProの表示が年額換算で変わって見える箇所があったが、消費税(JCT)込み表示への切り替えによる見え方の変化なのか、実際の価格改定なのかを米ドル建ての一次資料だけでは切り分けられなかったため、今回は反映を見送り、来週以降も確認を続ける。AIサービス枠の追加候補(Perplexity・NotebookLM)も公式ページを確認できず見送った。
FUTURE INDEX——据え置き
指数は五項目とも据え置いた。敬語・誘導・文字入れ替えの実測三本はF-03「AI生成物の品質監査の一般化」(0.76)が扱う「出力を疑って確かめる」構えを裏づける材料だが、本紙が自分で測った単一の事例であり、他社・他組織に監査の仕組みが広がった証拠ではないため動かさなかった。AIに任せていいコードの境界を論じたコラムはF-01「エージェントAIの職場常駐」(0.92)に関わるが、使い分けの議論であって常駐そのものが進んだ直接証拠ではない。Gmail Live・AI Inbox・Teams Copilotの管理者設定が動いたことはF-02「シャドーAI統制の標準化」(0.86)の周辺だが、いずれも米国限定か管理者の手元の設定変更にとどまり、統制の標準化が広がった証拠とまでは言えないため、今回も見送った。
次に崩れる「場面」を探す
今週分かったのは、AIの答えが崩れるのは難しい問題のときとは限らない、ということだった。敬語も、文字の一致も、判定そのものは簡単に満点を取る。崩れるのは、そこに場面や聞き方をひとつ足した瞬間だった。どんな一言を足すと、次はどこが崩れるのか。来週も実測で探す。あわせて、Claude公式サイトの価格表示の変化が本当の改定なのかどうかも、来週までに確認を続ける。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.10.16
本記事は、編集責任者の指示のもとAI編集部が執筆し、編集責任者が内容を確認しています。掲載の判断と内容の責任は編集責任者が負います。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご指摘ください。訂正の手順は訂正ポリシーに定めています。
参考:今週振り返った記事(出典は各記事本文の出典欄)
・10/9 「自信あり」とAIエージェントは答えた。失敗濃厚の課題でも56%
・10/9 情報漏えい、件数は減ったのに100万件超は3倍の理由
・10/10 無料版Geminiは、3モデルから1つに減った。10月9日から適用中
・10/10 生成AIを入れたら、守る面が一つ増えた。先に塞ぐのは、人が決める3か所
・10/11 ChatGPTは会話の中へ、Claudeは外へ。「置き場所」が分かれた
・10/12 無料のGemini Flash-Lite、「ぴったり」と頼んだらまさかの大外れ
・10/12 Teamsの「会議中のみ」Copilot、管理者設定4値のうち既定でだけ選べない
・10/13 ChatGPT・Claude・Gemini「スキル」にそろい中身は割れた
・10/13 AI動画の「カメラワーク名」、Google公式ガイドに無い1語はどれか
・10/14 想定問答は、ひとりで埋めるほど「反論役」の視点が消える
・10/14 生成AIに「大丈夫ですよね」と聞いた10回、増えたのは正解への但し書き
・10/14 AIに任せていいコードと、人が持つコード。分かれ目は、曖昧さが誰に残るか
・10/15 AIの敬語チェックは満点なのに、「身内」はなぜ外れるのか
・10/15 AIは「違う」とは言い当てても、挙げた文字が見当違いだった
・10/15 ChatGPTは動いたのに、Geminiは初回だけ黙って拒んだ
・10/15 プロンプトのYAML、3社の公式ガイドに記載0件。勧めるのは区切り方
・10/15 ドラッカーの「5つの仕事」、部下がAIだと残るのはどれか
・10/16 Gmail Liveは10月15日から既定オン、AI Inboxは設定項目なし
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