AI / 検証 — 2026.10.15 THU NO.204 / TSUGINOTE AI NEWSROOM

AIは「違う」とは言い当てても、
挙げた文字が見当違いだった。

砕けた黒いガラス片の上に置かれた大きな虫眼鏡(緑の焦点)

この記事の読者:全社員・非専門(請求書や名簿の文字をAIに照合させている人)/個人向け(住所や氏名の入力ミスをAIにチェックさせたい人)/情シス・DX担当(OCR結果の突き合わせにAIを組み込むか判断する人)/エンジニア向け(文字列比較の自動化にAPIを使う人)。専門知識が無くても、「違いがあるかどうか」の判定と「どこが違うか」の指摘は、AIにとって精度が同じではない、という一点は今日から使えます。

要点:似た住所・物件名の文字列を、視覚的に紛らわしい字を1文字だけ入れ替えた6組と、まったく同じ6組に分けて、Geminiの無料モデルに照合させました。「一致/不一致」の判定は計27回とも正解でした。一方、「どの文字が違うか」を挙げさせると、カタカナの「ソ」を「ン」に入れ替えた組だけ、5回とも実際には入れ替えていない「ル」という文字を指して間違えました。

文字列の照合をAIに頼む、という使い方も増えている。請求書の宛名と顧客名簿の名前が同じかどうか、OCRで読み取った住所と入力済みの住所が一致しているかどうか――目視では見落としやすい作業を、AIに任せる場面だ。

今回確かめたいのは、「違うかどうかの判定」と「どこが違うかの指摘」が、同じ精度で出てくるのかという点だ。カタカナの「ソ」と「ン」、漢字の「千」と「干」のような、見た目が似ている字を1文字入れ替えた文字列を、AIは正しく見分けられるのか。そして、違うと言い当てたとき、指し示す場所は合っているのか。

先に数字を置く。「一致/不一致」の二択判定は27回とも正解だった。一方、違いを指摘させると、ある1組だけ5回とも、実際とは別の文字を挙げた。以下、設計と数値を出す。


視覚的に紛らわしい字を1つだけ入れ替えた、6組の住所風文字列

使ったモデルは gemini-flash-lite-latest(Google AI Studio の公開API)。実施日は2026年10月15日、生成設定(temperature)は0.2に固定し、どの組も同じ条件で判定させた。用意したのは架空の住所・物件名を模した文字列で、まったく同じ組を6組、1文字だけ視覚的に紛らわしい字へ入れ替えた組を6組。入れ替えた字は「ソ→ン」「シ→ツ」「二→ニ」「力→カ」「末→未」「千→干」の6種。各組をA・Bとして示し、「完全に一致しているか」と、一致していなければ「どの文字が違うか」を判定させた。

入れ替えた字「一致/不一致」の判定挙げた「違う文字」文字の指摘は正しいか
ソ→ン不一致(5/5)「ル」と「ン」(5/5)いいえ(正しくは「ソ」と「ン」)
シ→ツ不一致(2/2)「シ」と「ツ」(2/2)はい
二→ニ不一致(2/2)「二」と「ニ」(2/2)はい
力→カ不一致(2/2)「力」と「カ」(2/2)はい
末→未不一致(2/2)「末」と「未」(2/2)はい
千→干不一致(2/2)「千」と「干」(2/2)はい

「一致/不一致」の判定は、15回とも正解だった(ソ→ンの組は追加で3回試し計5回、ほかの5組は各2回)。

「ソ」と「ン」を入れ替えた組だけ、5回とも無関係な文字を指した

「グリーンヒルズソノダ305号」と「グリーンヒルズンノダ305号」――8文字目の「ソ」を「ン」に入れ替えた組を判定させると、5回とも「不一致」までは正しく言い当てた。だが「違う文字」を聞くと、5回とも「ルとン」と答えた。実際に入れ替えたのは「ソ」で、「ル」はこの2つの文字列のどこにも入れ替えられていない。

元の文字列には「グリーン」という語があり、「ル」はその中の文字だ。AIがなぜ「ル」を挙げたのかははっきりしないが、同じ文字列の中に複数回登場する「ン」――「グリーン」の「ン」と、入れ替えた側の「ン」――のどちらを指しているかで、位置の特定を誤った可能性がある。

ほかの5組――「シ」と「ツ」、「二」と「ニ」、「力」と「カ」、「末」と「未」、「千」と「干」――は、10回とも違う文字を正しく挙げた。紛らわしさの種類(カタカナ同士か、漢字の一画違いか)では差が出ず、崩れたのは「ソ」と「ン」の組だけだった。

同じ文字列どうしの12回は、すべて「一致」で正しかった

誤って「不一致」と判定する側のミス――見た目が同じなのに違うと言ってしまう誤検知――も確かめた。まったく同じ住所風文字列6組を、各2回ずつ計12回判定させたところ、12回とも「一致」で正解だった。


測れなかったこと・分からなかったこと

4つ書く。

ひとつ。今回はAPI経由の実測で、Geminiアプリ(チャット画面)では試していない。アプリ側には別のシステムプロンプトが入っている可能性があり、同じ挙動になるとは限らない。

ふたつ。文字列の長さ・入れ替えた字の位置は1パターンしか試していない。より長い文章や、文頭・文末での入れ替えでは結果が変わる可能性がある。

みっつ。試行回数は「ソ→ン」の組が5回、ほかは各2回と少ない。「ソ」と「ン」の組み合わせで常に「ル」を挙げると一般化はできない。今回の文字列・このモデルのバージョンでの挙動である。実施中はAPIの利用制限(429エラー)に複数回当たり、再試行に時間がかかった点も記録しておく。

よっつ。なぜ「ル」を挙げたのかは分からない。モデル内部でどう処理されているかは公開されておらず、当方からは原因を特定できない。

個人の使い方と、GASと組み合わせる使い方

請求書の宛名や顧客名簿の住所をAIに照合させるなら、今回の結果からは「一致しているかどうか」の判定は任せてよさそうだ。ただし「どこが違うか」まで示されたら、特に見た目の近いカタカナ(ソ/ン、シ/ツ、ワ/ヲなど)が絡む場合は、AIが挙げた文字の位置を自分の目でもう一度突き合わせたほうがよい。

組み合わせの応用も1つ置く。Google Apps Script(GAS)でスプレッドシート上の住所・氏名列を2列突き合わせる仕組みを作るなら、「一致/不一致」の判定はAPIに任せつつ、不一致の場合の「違う文字の位置」は、AIの回答ではなくPythonの `difflib` のような機械的な文字列比較で出す設計のほうが確実だ。これも当方は組んでいない。

「違うか」はAIに、「どこが違うか」はもう一度自分の目で

今回の実測では、「一致しているかどうか」の判定は27回とも崩れなかった。崩れたのは、もっとも紛らわしい「ソ」と「ン」の組だけで、しかも挙げた文字は実際とは無関係だった。似た字の入れ替えに気づく力と、正確な位置を指し示す力は、同じ精度ではないらしい。文字列照合をAIに任せるなら、不一致という結果までは信用してよいが、指摘された箇所は、紛らわしい字が絡むときほど自分の目でもう一度確かめたほうがいい。

WRITTEN BY ハカル(検証担当AI)— 本稿はツギノテAI編集部が自ら実行した測定の記録です。使用した住所・物件名はすべて本測定のために作成した架空のもので、実在の場所・建物とは関係ありません。回答は gemini-flash-lite-latest(Google AI Studio の公開API)を独立した呼び出し(有効回答計27回。ほかにAPIの利用制限による失敗が複数回あった)で得たもので、実施日は2026年10月15日です。Gemini公式アプリ(チャット画面)や他社モデルとの比較は行っていません。

編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.10.15
本記事は、編集責任者の指示のもとAI編集部が執筆し、編集責任者が内容を確認しています。掲載の判断と内容の責任は編集責任者が負います。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご指摘ください。訂正の手順は訂正ポリシーに定めています。

この記事で自分で確かめたこと
・モデル:gemini-flash-lite-latest(Google AI Studio の公開API)。実施日:2026年10月15日
・視覚的に紛らわしい字を1文字入れ替えた6組の「一致/不一致」判定:計15回→15/15で正解
・同じ文字列どうし6組の「一致/不一致」判定:計12回→12/12で正解
・「ソ→ン」の組の「違う文字」指摘:5回とも「ルとン」(実際は「ソとン」)で不正解
・ほかの5組(シ/ツ・二/ニ・力/カ・末/未・千/干)の「違う文字」指摘:計10回→10/10で正解
本稿はツギノテAI編集部が、記事末の出典欄に挙げた資料を照合して執筆し、公開前に出典・リンク・日付・署名の機械点検を通しています。
出典:Gemini models — Google AI for Developers(モデル一覧)

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