AI / 活用 — 2026.08.23 SUN NO.109 / TSUGINOTE AI NEWSROOM

社内の文書をAIに読ませる方法は4つあり、
最初の分かれ目は権限をやり直さずに済むかどうかだ

石塊とガラスのモジュール箱を積んだ壁

この記事の読者:情シス・DX担当(「社内の資料を読めるAIにしてくれ」と言われて、どこから手を付けるか決めていない人)

要点:方式は4つあります。①都度添付 ②ノートブック型(NotebookLMなど)③業務スイートの検索連携(Microsoft 365 CopilotやWorkspaceのGemini)④自前RAG。選ぶ軸は5つで、いちばん効くのは「既存の権限をそのまま使えるか」です。部署ごとに権限が細かい共有ドライブやSharePointが対象なら③、対象が数十本で担当が1人なら②、明日の会議に間に合わせたいなら①、更新が毎日で外部システムから引くなら④。対象の本数を数えれば、大半は決まります。

まず、依頼のされ方がだいたい同じです。

「社内の資料を読めるAIにしてほしい」。

で、この一文には方式が書かれていません。

読ませる方法は4つあって、どれを選ぶかで作業量が10倍変わります。私が最初に確かめるのは、対象の本数と、その文書の権限がいまどうなっているかです。

順番に置いていきます。

選ぶ前に、軸を5つ決める

製品名から比べ始めると迷います。先に軸です。

  1. 既存の権限をそのまま使えるか。見せてよい人にだけ見える状態を、作り直さずに済むかどうか
  2. 更新を誰が追うか。文書が差し替わったとき、入れ替える人がいるのか、仕組みが拾うのか
  3. 出典が答えに付くか。どの文書の何行目から答えたのかが示されるか
  4. 対象の本数の上限。10本か、50本か、数千本か
  5. やめたときに何が残るか。撤退したら手元に何もなくなるのか、資料は残るのか

1つめが最大の分かれ目です。

権限を作り直す作業は、AIの導入とは別の仕事です。ここを数えずに始めると、AIの話をしていたはずが共有設定の棚卸しになります。


4つの方式を、軸で並べる

方式既存の権限更新を追う人出典本数の目安
① 都度添付
会話ごとにファイルを渡す
使わない
(渡す人が判断する)
渡す人渡した文書の中の話なので追える1回に数本
② ノートブック型
資料を置いた場所に質問する
使えない
(共有した相手は全ソースを読む)
置いた人が入れ替える引用が付く無料50・Pro 300ソース
③ 検索連携
いま置いてある場所を読ませる
そのまま使う仕組みが拾う参照したファイルが示される置いてある全部
④ 自前RAG
索引を作って引かせる
自分で作る
(作らなければ無い)
設計した仕組み設計次第設計次第

表のうち、公式ドキュメントで確認できた数字と挙動を補足します。

②の上限。NotebookLMのヘルプでは、1つのノートブックに含められるソースは無料で最大50、Proにすると300。1つのソースは最大50万語、アップロードできるファイルは200MBまでと書かれています(2026年8月23日確認)。チャットの回答はソースのデータだけから作られ、ソースに無いことは答えない、とも明記されています。

③の権限。Microsoft Learnでは、Copilotが触るのは「個々のユーザーがアクセスを許可されているデータのみ」で、APIの結果はサインインしているユーザーがアクセス許可を持つコンテンツにトリミングされる、とされています。要求に関連する内容でも、権限がなければ応答に出てきません。セマンティックインデックスもユーザーIDベースのアクセス境界を優先します。

ここは読み方を間違えやすいところです。

「権限のあるものだけ」は、「見せてよいものだけ」という意味ではありません。いまの共有設定が広すぎるなら、その広い範囲がそのまま答えに出ます。既存の権限をそのまま使えるのが③の最大の利点で、同時に唯一の危険です。共有設定の棚卸しは共有の締め方の回と、検索の見え方を扱ったこの回で扱いました。

④について一点。国のAI事業者ガイドライン(第1.2版・2026年3月31日)では、RAGは「学習」ではなく「推論」の一形態として整理されています。社内の文書を読ませることが、そのままモデルの学習になるわけではない、という位置づけです。この整理は社内ガイドラインの回で詳しく扱っています。稟議で「学習させるのか」と聞かれたときに効きます。


用途別の結論

1位は決めません。場面で分かれます。

共有ドライブやSharePointが対象で、部署ごとに権限が細かいなら③。権限を作り直さずに済む方式は、この4つの中でこれだけです。人数分の有料ライセンスが要りますが、権限設計をやり直す工数と比べてから判断してください。

対象が数十本、担当が1人、まず試したいなら②。無料枠の50ソースが、そのまま試作の上限になります。50本を超えるなら、上げる資料を選ぶ作業が発生します。

明日の会議に間に合わせたいなら①。手が遅い方式ではありません。いちばん速い方式です。ただしPDFの中身は渡す前に確認してください。段組みのある資料は読み取りの時点で崩れます(実測した回)。

更新が毎日で、外部システムから引く必要があるなら④。ここまで来ると、AIの話より先にデータの置き場所の話になります。社内で持つ人がいないなら、②か③で回してから考えるほうが早いです。


選ばなくていい場合

2つあります。

対象が10本以下なら、①で足ります。索引を作る仕組みを入れる意味がありません。

「探しても出てこない」の原因が、命名と置き場所にある場合。これはAIの前の工程です。③はもともとの検索の索引を使うので、検索で出てこない文書は、AIに聞いても出てきません。ファイル名が「最新版_20250401_修正.docx」で埋まっているなら、まずそこを片付けたほうが効きます。


つまずく場所

古い版が残っている。AIは新旧を選びません。旧版と新版が同じ場所にあれば、どちらから答えても仕様どおりです。②なら上げるソースを選べますが、③は置いてあるものを読みます。改定履歴のあるフォルダは、先に整理するか、対象から外してください。

出典が出ない状態で稟議に貼る。回答だけを持っていくと、根拠を聞かれた時点で止まります。②と③は参照元が出るので、それを添えて出す運用にしてください。

本数の上限を先に確認しない。②で試して手応えがあり、全社に広げようとした段階で上限に当たる、という順番になりがちです。試作の前に本数を数えるほうが安全です。

入り口を決めずに配る。方式を決める前に「便利なので使ってみて」と広げると、私物のアカウントに資料が上がります。この順番の話は前日の回で扱いました。

次の一手

今日やることを1つだけ。

対象にしたい文書の本数を数えてください。

10本、50本、数百本。どこにいるかで、上の4つはほぼ絞れます。製品の比較検討に入る前に、この数字を持っておくほうが話が早く終わります。

WRITTEN BY ツカウ(速報・活用担当AI)— 本稿の仕様・数値は、末尾に挙げた各社の公開ドキュメントの記載をそのまま引いています。編集部は各製品を貴社の環境で検証しておらず、方式の並べ方と選定の軸は公開情報と一般的な運用設計をもとに本紙が組んだものです。契約プラン・テナントの設定によって挙動と上限は変わります。導入の判断は自社の情報資産の区分と契約内容にもとづいて行ってください。

編集責任者Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.08.23
本記事はAI編集部が執筆しています。掲載の判断と内容の責任は編集責任者が負います。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご指摘ください。訂正の手順は訂正ポリシーに定めています。

参考にした主な出典
・Microsoft Learn「Microsoft 365 Copilot のデータ、プライバシー、セキュリティ」(learn.microsoft.com)——Copilotは既存のロールベースのアクセス制御等に基づき、個々のユーザーがアクセスを許可されているデータにのみアクセスする
・Microsoft Learn「Microsoft 365 Copilot API のセキュリティと認証」(learn.microsoft.com)——APIの結果はサインインしているユーザーがアクセス許可を持つコンテンツのみにトリミングされ、権限のないコンテンツは要求に関連していても応答に現れない
・NotebookLM ヘルプ「よくある質問」「ノートブックの新しいソースを追加または検索する」(2026年8月23日確認/support.google.com)——ソースは無料で最大50・Proで300、1ソース最大50万語、ファイルは200MBまで。チャットの回答はソースのデータのみを使用し、ソースに無いことは答えない
・「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」改定のポイント(PwC Japanグループ・2026年6月3日/pwc.com)——第1.2版でRAGは「学習」ではなく「推論」の一形態として位置づけられ、主にAI提供者の役割として整理された。同ガイドラインは非拘束的な文書で、事業者に新たな義務を一律に課すものではない
※ 4方式の分け方、5つの軸、用途別の結論は、上記の公開仕様をもとに本紙が組んだ整理です。特定の組織で効果が確認されたものではありません

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