DeepSeek新モデル、「オープンウェイト」でも入力の行き先は使い方で4通り。
この記事の読者:エンジニア向け(DeepSeekのAPIか重みを使って何かを組むつもりの人)/情シス・DX担当(「DeepSeekは使ってよいのか」と聞かれて、一言で答えられずにいる人)/個人向け・全社員・非専門(専門知識がなくても、最初の表の「入力が届く先」の列だけ読めば、アプリに何を貼ってよいかが決められます)
要点:DeepSeekが10月17日に公開したDeepSeek-V4.1-Flash-1017は、重みがMITライセンスでHugging Faceに置かれたオープンウェイトのモデルです。ただし、オープンウェイトであることが効くのは、重みを自分の環境で動かす場合だけです。DeepSeekのアプリ・Webチャット・公式APIに入れた文章は、同社のプライバシーポリシー(2026年2月10日更新)が「中華人民共和国で収集・処理・保存する」と書いており、他社の推論サービス経由ならその事業者の規約に従います。料金は日本時間の平日10〜13時と15〜19時がピーク単価で、業務時間の大半が倍額の側に入ります。
DeepSeekの新モデル「DeepSeek-V4.1-Flash-1017」を試した感想と、それへの反論を正す投稿が、10月18日からXで広まりました。当方が10月20日に確認した時点で、主な2本の表示は合わせて約34万回、ブックマークは合わせて約1,200件です。後者の投稿は「中国製だからダメ」という反応に対し、オープンウェイトなので製造国は関係ない、という趣旨で答えています。
当方の判定を先に置きます。この反論は、重みの扱いについては成り立つと認められます。入力した文章の行き先については、使い方によって成り立たない場合があります。以下、DeepSeekの公式資料と個人情報保護委員会の資料で、その境目を確認します。
「オープンウェイト」が保証するのは、重みを持ち出せることまで
オープンウェイトとは、AIモデルの中身にあたる数値の集まり(重み)が公開され、誰でも取得して自分の計算機で動かせる状態を指します。Hugging Faceの公式リポジトリは、このリポジトリと重みはMITライセンスで提供されると明記しています。MITは商用利用も改変も認める、制約の少ないライセンスです。
一方、同じモデルはDeepSeek自身のWebサイト、アプリ、API(モデル名 deepseek-flash)でも動いています。10月17日の公式告知は、新モデルがこの3つに同時に反映されたと書いています。同じモデルでも、どの入口から使うかで、入力を受け取る事業者が変わります。重みが公開されていることは、入口が4つあることの説明にはなりますが、どの入口が安全かの説明にはなりません。
入力が届く先を、使い方の4通りで並べる
当方が照合した資料の範囲で、使い方ごとの行き先を並べます。
| 使い方 | 入力が届く先 | 何が適用されるか |
|---|---|---|
| DeepSeekのアプリ・Webチャット | DeepSeek。保存先は中華人民共和国とプライバシーポリシーに明記 | DeepSeekのプライバシーポリシー(2026年2月10日更新)。入力・アップロードしたファイル・会話履歴が収集対象 |
| DeepSeekの公式API | DeepSeek。同じポリシーに、API(オープンプラットフォーム)の有料利用に関する記述がある | 同上と当方は読む。API専用の保存期間の規定は確認できていない |
| 他社の推論サービス経由 | その事業者。Hugging Faceのページには提供事業者としてNovitaが表示されている | 各事業者の規約。事業者ごとに確認が要る |
| 重みを自分の環境で動かす | 自分の環境の中だけ | MITライセンスと、自社の運用 |
1行目と2行目について、プライバシーポリシーは「サービスを提供するため、個人データを中華人民共和国で直接収集・処理・保存する」と書いています。管理者は杭州に登記された同社です。個人情報保護委員会は2025年2月3日(3月5日更新)の情報提供で、取得したデータが中国国内のサーバに保存されること、中国の法令が適用されることを挙げ、例として個人情報保護法、サイバーセキュリティ法、データセキュリティ法、国家情報法を列挙しています。
同じポリシーは、モデルの学習への利用を止める権利がある旨も書いています。ただし、止めても保存先は変わりません。また、健康・宗教などの機微な個人情報は入力しないよう、ポリシー自身が求めています。
4行目は、条件つきで成り立つと認められます。V4.1-Flashは9月10日の告知で総パラメータ552B(5,520億)の構成とされています。1パラメータを1バイトとして当方が概算すると、重みだけで約550GBです。Hugging Faceのファイル情報は763Bと表示しており、数え方の差と思われますが、内訳は確認できていません。いずれにしても、公式の重みをそのまま手元のパソコンで動かす規模ではなく、自社でGPUサーバを持つか借りる前提になります。Hugging Faceには第三者が容量を縮めた版が75件登録されていますが、DeepSeekの公式版ではなく、精度は版ごとに確かめる必要があります。
APIで作ったアプリを社外の人に使わせる場合は、もう1段あります。プライバシーポリシーは、APIで作られたアプリの利用者の個人データについては対象外で、アプリを運営する開発者側が利用者に方針を示すべきだとしています。
料金は「激安」と認められるが、日本の業務時間はピーク単価
公式の料金表で、deepseek-flash の100万トークンあたりの単価は次のとおりです。
| 区分 | オフピーク | ピーク |
|---|---|---|
| 入力(キャッシュに当たった分) | $0.003 | $0.006 |
| 入力(キャッシュに当たらない分) | $0.15 | $0.30 |
| 出力 | $0.60 | $1.20 |
ピークは協定世界時の01:00〜04:00と06:00〜10:00で、月曜から金曜まで(中国の祝日を除く)です。日本時間に直すと、平日の10時〜13時と15時〜19時になります。朝9時台、昼の13〜15時、19時以降と週末はオフピークです。業務時間に対話で使う場合は、ピーク単価を前提に見積もるのが妥当です。
比較のため、本紙の早見表(9月29日時点)にある単価と並べます。OpenAIのGPT-6 Astraは入力$10.00・出力$50.00で、ピークのDeepSeekと比べて入力は約33倍、出力は約42倍です。一方、同じ表のGPT-6 Luna(9月22日のOpenAI発表で入力$0.10・出力$0.50)は、DeepSeekのオフピーク単価よりも低くなります。単価の最安ではないため、「激安」が成り立つのは、上位モデルと比べた場合に限られます。
なお、10月17日に一般公開された検索・取得のAPI(Search/Fetch)は、1,000回あたり$0.75です。Claude CodeやCodexから使う場合は現在無料で、課金は日本時間の11月1日午前1時に始まると告知されています。
「Astra超え」は、公式の比較表からは確かめられない
Xでは、このモデルがOpenAIのフラッグシップGPT-6 Astraを上回った、という趣旨の投稿も見られました。Hugging Faceのモデルカードにある比較表の対象は、前版のV4.1-Flash、K3、GLM-5.3、GPT-5.6 Sol、Opus 5の5つで、GPT-6 Astraの列はありません。
同じ表の中でも、結果は評価ごとに分かれています。ソフトウェア開発の評価DeepSWE v1.1では77.0で、Opus 5の74.0を上回っています。道具を使わない難問集HLEでは42.6で、Opus 5の56.3を下回っています。どの評価で何と比べた話なのかが添えられていない「超え」は、判断を留保します。
当方が確かめられなかったこと
3点あります。第一に、公式告知に載っている性能表と料金表は画像で、当方は文字として読み取れていません。本稿の性能値はモデルカードの文字の表から、料金は料金表のページから取っています。第二に、料金表には旧上位モデル deepseek-v4-pro の行が単価つきで残っていますが、9月10日の告知は、9月14日以降このモデル名への要求をV4.1-Flashに回し、V4.1-Flashの単価で請求すると書いています。どちらが現行の扱いかは、公開資料からは判断できませんでした。第三に、本紙の早見表のDeepSeek V4 Flashの行(入力$0.22・出力$0.66)は旧モデルの単価のまま残っており、今回確認した現行単価と一致しません。金曜の定期点検で直します。
試す前に、入口を1つに決めて書き残す
次の一手は1つです。DeepSeekを試すなら、4通りのうちどの入口から使うかを先に決め、社内の利用ルールか自分のメモにその1行を書いてください。アプリや公式APIなら、顧客名・個人名・社外秘の資料は入れない。重みを自前で動かすなら、その計算機をどこに置くかを決める。製造国の議論より、この1行のほうが判断に効くと当方は考えます。
この記事で自分で確かめたこと:2026年10月20日に、DeepSeekの公式告知(10月17日のV4.1-Flash-1017、9月10日のV4.1-Flash)、料金表(モデル名・単価・ピーク時間帯・Search/Fetchの単価と課金開始日)、プライバシーポリシー英語版(2026年2月10日更新・管理者・収集項目・保存先・学習利用を止める権利・APIで作られたアプリの扱い)、Hugging Faceの公式リポジトリ(MITライセンス・比較表の対象モデルと値・763Bの表示・推論の提供事業者)、個人情報保護委員会の情報提供(2025年2月3日・3月5日更新)を原文で確認しました。ピーク時間の日本時間への換算と、重みの容量の概算(552B×1バイト)は当方の計算です。Xの反応の数は同日に当方が確認した値です。DeepSeekのアプリ・API・重みを実際に動かしてはいません。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.10.20
本記事は、編集責任者の指示のもとAI編集部が執筆し、編集責任者が内容を確認しています。掲載の判断と内容の責任は編集責任者が負います。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご指摘ください。訂正の手順は訂正ポリシーに定めています。
参考にした主な出典
・DeepSeek「DeepSeek-V4.1-Flash-1017: Wish-Driven Programming Made Real」(api-docs.deepseek.com、2026年10月17日公開・10月20日閲覧)——Web・アプリ・APIへの反映、Search/Fetch APIの単価と課金開始、重みの公開先
・DeepSeek「DeepSeek-V4.1-Flash: Smarter, Faster, More Efficient」(api-docs.deepseek.com、2026年9月10日公開・10月20日閲覧)——552BのMoE構成、deepseek-v4-proの転送と請求の扱い
・DeepSeek「Models & Pricing」(api-docs.deepseek.com、2026年10月20日閲覧)——deepseek-flashの単価、ピーク時間帯、Search/Fetchの課金開始(北京時間11月1日0時)
・DeepSeek「DeepSeek Privacy Policy」(cdn.deepseek.com、2026年2月10日更新・10月20日閲覧)——管理者、収集項目、保存先、学習利用を止める権利、APIで作られたアプリの扱い
・deepseek-ai「DeepSeek-V4.1-Flash-1017」(huggingface.co、2026年10月20日閲覧)——MITライセンス、比較表の対象モデルと値、ファイル情報の763B、推論の提供事業者
・個人情報保護委員会「DeepSeekに関する情報提供」(ppc.go.jp、2025年2月3日・3月5日更新、2026年10月20日閲覧)——中国国内のサーバへの保存、適用される中国の法令
・本紙「生成AI料金×性能早見表」(API料金表・2026年9月29日時点)——GPT-6 Astra・GPT-6 Lunaの単価
・Xで話題になった投稿は、個人の投稿のため出典欄には挙げていません。反応の数は2026年10月20日に当方が確認した値です。
ツギノテはAI編集部が毎日発行するメディアです。同じ仕組みを作りたい方は 構築の相談 へ。

