Gemini 3.7 Flashは半額で始まり、
同じ週にDeepSeekは最大12倍へ動いた。
この記事の読者:情シス・DX担当(社内のAI利用でAPIの請求書を見ている人、単価表を根拠に来期の見積もりを出そうとしている人)
8月13日から14日にかけて、主要モデルのAPI単価が二方向に動きました。
Googleは13日(現地時間)に「Gemini 3.7 Flash」を公開し、100万トークンあたり入力0.75ドル・出力3.75ドルという価格を出しました。前世代の3.6 Flash(入力1.50ドル/出力7.50ドル)の半額です。同じころ、DeepSeekはV4-Proの正式版とあわせてAPI料金の値上げを発表しました。従来価格に比べ、V4-Proの入力はキャッシュヒット時で約12.1倍。適用は8月17日午前1時(日本時間)からです。
単価が下がった発表と、上がった発表が48時間の中に並んだわけですが、社内の見積もりに効いてくるのは倍率のほうではありません。この2つの発表で、単価表に「日付」と「時間帯」という欄が増えました。そこを先に押さえます。
まず、動いた数字を並べる
Googleの発表は3.6 Flashの公開からわずか3週間後です。性能面では、コーディングとエージェント用途で3.6 Flashを上回るとしています。
| ベンチマーク(測るもの) | 3.7 Flash | 3.6 Flash |
|---|---|---|
| FrontierCode 1.1 Main(ソフトウェア開発) | 43.6% | 34.4% |
| DeepSWE v1.1(同) | 65.3% | 49.0% |
| WebDev Arena(Web開発・Eloスコア) | 1588 | 1538 |
| GDP.pdf(複雑な文書処理) | 34.0% | 22.0% |
| AutomationBench(業務ワークフローの完遂) | 30.4% | 17.0% |
仕様は、コンテキストが最大100万トークン、出力が最大6万4000トークン、組み込みツール群は3.6 Flashと共通です。
一方のDeepSeekは、V4-Proの通常時の単価が100万トークンあたり入力0.022ドル(キャッシュヒット)/0.66ドル(キャッシュミス)、出力1.98ドル。従来比では入力が約12.1倍(キャッシュヒット)・約3.0倍(キャッシュミス)、出力が約4.5倍と報じられています。値上げ後でも絶対額は上位モデルより低い水準に残りますが、「安いから中国系で組む」という前提で通した稟議は、根拠の数字が入れ替わります。
Googleの半額には、終わる日が書いてある
0.75ドル/3.75ドルは導入価格です。適用は2026年12月31日まで。2027年1月1日からは入力1.50ドル・出力7.50ドルに戻ります。つまり年が明けた時点で、同じ処理量の請求が倍になります。
ここで見落としやすい点がもう一つあります。この導入価格は、3.6 Flashにも同じく適用されます。Google AI StudioとGemini Enterprise Agent Platformで、両モデルとも12月31日まで同じ単価です。
これが実務上どう効くかというと、急いで乗り換える理由が価格側から消えます。3.6 Flashで検証を終えて本番に載せたばかりの仕組みがあるなら、単価が同じなので、性能差だけを見て落ち着いて判断できます。逆に「新しいほうが安いから今週中に差し替えたい」という説明で社内を動かすと、根拠が間違っていることになります。
年をまたぐ稟議を書いている人は、そこだけ数字を分けてください。2026年12月までは0.75ドル/3.75ドル、2027年1月からは1.50ドル/7.50ドル。1年ぶんを平均単価ひとつで積むと、後半が半分の見積もりになります。
DeepSeekの値上げは、日本の業務時間に重なっている
DeepSeekは今回、通常の2倍になるピーク時価格を新しく導入しました。時間帯は、日本時間の午前10時から午後1時と、午後3時から午後7時です。
この2つの帯を、社内のカレンダーに重ねてみてください。午前の業務時間、そして昼休みが終わってから終業までの大半が入ります。社員が対話しながら使う時間は、ほぼすべてが2倍側に入る形です。値上げの倍率だけを見て「それでも安い」と判断すると、実際の請求は想定の2倍のところから始まります。
逆に言えば、通常価格で通る時間帯が3つ残っています。午後1時から3時までの2時間、午後7時以降の夜間、そして午前10時より前の早朝です。
人が待っていない処理は、この帯に寄せられます。前日ぶんの議事録をまとめて要約する、日次のデータを整形する、社内文書のインデックスを作り直す、問い合わせログを分類する。こうした処理は実行時刻を選べるので、夜間か早朝のジョブに移すだけで単価の側が変わります。
寄せられないのは、人が画面の前で待っている用途です。チャットの応答、その場の翻訳、入力補助。ここは業務時間に使うしかないので、時間帯で逃げる手が使えません。用途をこの2つに分けて、後者だけ別のモデルに置く、という組み替えが選択肢になります。
単価表に出てこない欄が、もう一つある
3.7 Flashには、推論にかける労力を「low」「medium」「high」の3段階から選ぶ設定があります。既定はmediumです。lowはインシデント対応やリアルタイムチャットのように低遅延が要る用途向け、highは難度の高い数学やコーディング、エージェントのタスク向けで、トークン消費とコストが増えます。
つまり、100万トークンあたりの単価が同じでも、highを指定した処理は同じ仕事で請求が増えます。単価表を見て積んだ見積もりと実際の請求がずれるとき、原因はここにあることがあります。社内で誰かがhighを既定にした設定を配っていないか、一度見ておいてください。
もう一つ、黙って変わっているものがあります。AI開発環境「Google Antigravity」でエージェントを動かす既定モデルが、3.7 Flashに切り替わりました。個人向けでは、Google AI Pro/Ultraの加入者に160カ国以上で提供されている「Gemini Spark」も同日から3.7 Flashを使います。自分で切り替えた覚えがなくても、使っているモデルが変わっている人がいます。出力の傾向が急に変わったという報告が社内から来たら、まずここを確かめると早いです。
なお、Googleが5月のGoogle I/Oで6月公開を予定していた上位モデル「Gemini 3.5 Pro」は、8月中旬時点で一般提供に至っていません。今回の発表でも言及がありませんでした。上位モデルの提供を待って止めている案件は、まだ動かせない前提で置いてください。
編集部が測っていないこと
本稿の数値は、Googleの公式発表と報道の記載に基づくものです。編集部は3.7 Flashを実機で動かしておらず、速度・日本語の出力品質・実際の請求額は測っていません。
DeepSeekの新料金についても、公式の料金ページを直接確認できていません。数値は報道の記載によるもので、キャッシュヒット率の実際の分布や、日本のリージョンからの利用条件は確かめていません。導入判断の前に、必ず各社の一次情報をご確認ください。
ベンチマークの値についても一点。並べた5つの指標は、いずれもGoogleが選んで公表したものです。3.6 Flashとの比較としては読めますが、あなたの社内の用途で同じ差が出ることを保証する数字ではありません。他社の最上位モデルと並べた表でもありません。
今日は、日付を2つ書き留めるだけでいい
2026年8月17日 午前1時(日本時間)と、2027年1月1日。この2つを、いま社内でAPIキーを持っているシステムの一覧に書き添えてください。
単価そのものは毎週動きます。実際に本紙の生成AI早見表も、先週の点検で7日ぶん古い数字を出していたことをお詫びしたばかりです。追いかけ続けるのは現実的ではありません。
ですが、日付は動きません。17日を過ぎたらDeepSeekの請求の前提が変わり、1月1日を過ぎたらGemini Flashの請求が倍になる。この2行が一覧に入っていれば、来月の請求を見て慌てる回と、想定どおりだと確認して終わる回の差になります。
書き添えたら、あわせて1つだけ数えてください。そのシステムのうち、実行時刻を自分で決められるものが何本あるか。その本数が、時間帯別料金に対して打てる手の上限です。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.08.15
本記事はAI編集部が執筆しています。掲載の判断と内容の責任は編集責任者が負います。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご指摘ください。訂正の手順は訂正ポリシーに定めています。
参考にした主な出典
・Google Japan Blog「Gemini 3.7 Flash を発表」(blog.google、2026年8月14日)——3.6 Flashから3週間での公開、FrontierCode 1.1 Main 43.6%対34.4%、DeepSWE v1.1 65.3%対49.0%、WebDev Arena Elo 1588対1538、GDP.pdf 34.0%対22.0%、AutomationBench 30.4%対17.0%、導入価格が入力0.75ドル/出力3.75ドルである旨、脚注に「初回特別価格は Gemini 3.6 Flash にも適用」「適用期間は2026年12月31日まで」「2027年1月1日以降は入力1.50ドル/出力7.50ドル」と明記されている旨、Google AntigravityとGemini Spark(160か国以上のAI Pro/Ultra)への適用
・ITmedia AI+「Google、『Gemini 3.7 Flash』公開 年内は半額の導入価格」(itmedia.co.jp、2026年8月14日)——8月13日(現地時間)発表である旨、最大100万トークンのコンテキストと最大6万4000トークンの出力、組み込みツール群が3.6 Flashと共通である旨、推論の労力がlow/medium/highの3段階で既定がmediumである旨とlow・highの用途、Google Antigravityの既定モデルの変更、Gemini 3.5 Proが8月中旬時点で一般提供に至っていない旨
・ITmedia AI+「中国DeepSeek、API料金を『最大12倍』に値上げ ピーク時価格も導入 8月17日から」(itmedia.co.jp、2026年8月13日)——新料金の適用が8月17日午前1時(日本時間)からである旨、V4-Proの通常時単価が入力0.022ドル(キャッシュヒット)/0.66ドル(キャッシュミス)・出力1.98ドルである旨、ピーク時価格が通常の2倍で適用時間帯が日本時間10時〜13時と15時〜19時である旨、従来価格比で入力約12.1倍(キャッシュヒット)/約3.0倍(キャッシュミス)・出力約4.5倍である旨、V4-Pro正式版のリリースに併せた発表である旨
※ 主要モデルの月額プランとAPI単価は 生成AI早見表 にまとめています(週次更新)。本稿の内容は同表に反映済みです。
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