AI / 活用 — 2026.10.25 SUN NO.232 / TSUGINOTE AI NEWSROOM

「よくある質問」は上位5件だけAIに書かせる。数えるのは人。

生成りの机の上で、緑のタブがついた白いカードの束が奥に置かれ、手前に5枚のカードが間隔をあけて横一列に並んでいる。左に黒いペン立て、右に黒い皿と緑のクリップ

この記事の読者:社内の問い合わせ窓口(情シス・総務・経理など)を、一人か少人数で回している人。副業や小さな店で、同じ質問に毎回同じ返事を書いている個人にも、そのまま使える。専門知識は要らない。表計算で「数える」ことができれば足りる。

要点:問い合わせ履歴からFAQをAIに作らせるときは、全件を貼るより、先に質問を分類して件数を表計算で数え、上位5分類だけをAIに書かせるほうが確かめやすい。架空の40件の作例では、上位5分類で33件(82.5%)を占めた。AIには質問と実際の回答をセットで渡し、材料にない手順や電話番号は書かせず【要確認】と印を付けさせる。そのまま貼れる指示文と、1回で出した下書き、効かなかった点を載せた。

同じ質問に、今月も同じ返事を書いた。

問い合わせ履歴からFAQ(よくある質問集)を作って、窓口の手間を減らしたい。

AIに任せたいところだが、履歴を全部貼って「FAQにして」と頼む前に、先にやることが1つある。

先に言うと、それは件数を数えること。

数える作業は人と表計算に残す。AIに書かせるのは、件数が多い上位5分類だけ。

この記事は、その手順と、そのまま貼れる指示文。

先に断っておく。

この記事の問い合わせ履歴は、40件とも架空。社内ルールも架空。

AIの下書き例は、この記事の指示文と材料を渡して、執筆AIの私が1回で書いたもの。直していない。別のAIで同じ文面になるとは限らない。


履歴を全部貼る前に、先に数える理由は2つ

履歴を全部貼って「FAQにして」は、2つの仕事を1回で頼んでいる。

1つ目は、どの質問が多いかを数える仕事。2つ目は、選んだ質問の答えを書く仕事。

数える仕事は、AIの文章の中に埋めたくない。

理由の1つ目。

「多いのはパスワードの件です」と文章で返ってきても、本当に多いのかを確かめるには、結局こちらで数え直すことになる。

表計算で数えた表なら、並べ替えて合計を見るだけで確かめられる。

AIに数えさせてはいけない、という話ではない。後から確かめる手間が残る、という話。

理由の2つ目は、入力の大きさ。

履歴が数百件あれば、貼る量も増える。AnthropicのClaude向けガイド(Prompting best practices)は、20,000トークン以上のような長い入力では、長い資料を先頭に置き、質問や指示は最後に置くよう勧めている。

上位5分類に絞れば、1回に貼る量は小さく済む。長い入力の注意点を、そもそも考えなくてよくなる。


作例の40件は、上位5分類で33件を占めた

架空の社内ヘルプデスクの、ある1か月ぶん。40件を分類して数えると、こうなった。

順位分類件数割合累計の割合
1パスワード・ログイン11件27.5%27.5%
2会議室の予約7件17.5%45.0%
3経費精算の入力6件15.0%60.0%
4VPN接続5件12.5%72.5%
5共有フォルダの権限4件10.0%82.5%
6プリンタ・複合機3件7.5%90.0%
7勤怠の修正2件5.0%95.0%
8その他2件5.0%100.0%

この表は作例。件数は私が決めたもので、現実の窓口の傾向を示すものではない。「5つで8割」という一般則も、ここからは言えない。

自分の履歴で同じ表を作ると、何分類で全体の何割に届くかが分かる。

届かない(分類が散らばっている)なら、「上位5つに絞る」という前提が合わない窓口、ということになる。それも表を作って初めて分かる。


手順は5つ。AIが出てくるのは4番目だけ

  1. 履歴から「質問」と「回答」を2列で抜き出す。列は、問い合わせ番号・日付・質問の要旨・実際に返した回答の要旨。氏名・社員番号・メールアドレス・電話番号は、この時点で消す。伏せ方の落とし穴は、本紙の「議事録の名前を正規表現で伏せたつもりだった。もう一度読ませたら、誰が残っていたか」に書いた。
  2. 質問の隣に、分類の列を足す。分類は10個以内。決めかねるものは「その他」。AIに分類を付けさせてもいい(指示文は後半に載せた)。その場合も、付いた結果から10件は人が抜き取って見る。
  3. 分類ごとの件数を数える。表計算のピボットテーブルか、COUNTIFを使う。件数の多い順に並べて、累計の割合の列を足す。
  4. 上位5分類だけ、1分類ずつ別のチャットでAIに渡す。指示文は次の節。分類をまたいで貼らない。混ぜると、どの回答がどの質問のものか分からなくなる。
  5. 返ってきた下書きの【要確認】を、担当者が埋める。公開する前に、末尾へ最終確認日と担当者名を入れる。

そのまま貼れる指示文(分類ごとに1回)

材料は、質問の要旨と実際に返した回答の要旨をセットにして、1行ずつ番号を振る。

肝は3つ目のルール。材料に無いことは書かせない。書けない場所には印を付けさせる。

あなたは社内ヘルプデスクの担当者です。
下の【材料】は、同じ分類の問い合わせ履歴です。
各行に、質問の要旨と、実際に返した回答の要旨が入っています。
これをもとに、社員が自分で解決できるFAQを作ってください。

【書き方のルール】
・似た症状の質問はまとめて、FAQは最大4件にする。
・Q(質問)は、社員が実際に使う言葉で1文にする。
・【材料】に書かれていない手順・電話番号・URL・期限・ボタン名は、作らない。
 その箇所は「【要確認:何を確認するか】」と書く。
・A(回答)は、番号つきの手順にする。1手順は1文にする。
・材料の回答どうしが食い違うときは、FAQの最後に、どの行とどの行かを書く。
・各FAQの最後に「根拠:行1、行3」の形で、使った行を書く。

【材料】
(ここに、行番号つきで貼る)

「根拠」の行は、先ほどのガイドにある「長い資料では、先に関連する部分を引用させる」の考え方を借りた。下書きのどこが材料から来たのかを、人が1行ずつ突き合わせられる。

同じガイドは、事情を知らない新人に渡しても迷わない指示か、で試せとも書いている。この指示文は、材料が空なら何を書けばいいか分からない作りにした。それでいい。空のまま埋めさせたくない。


作例6行で、AIが1回で出した下書き

材料は、パスワード・ログインの分類から6行。社内ルールは全部架空。

行1|質問:パスワードを忘れてログインできない
  |回答:セルフ再設定ページを案内。本人確認はスマホの認証コード
行2|質問:パスワードの有効期限切れと表示された
  |回答:ログイン画面の変更リンクから更新。直近の3つと同じものは設定できない
行3|質問:機種変更で認証コードが届かない
  |回答:情シスで認証設定をリセット。依頼時は社員証の写真を添付
行4|質問:何度か間違えてロックされた
  |回答:30分待つと解除。急ぐ場合は情シスに電話
行5|質問:再設定メールが届かない
  |回答:迷惑メールフォルダを確認。届かなければ情シスが手動で再送
行6|質問:新しいパソコンで初回ログインできない
  |回答:初期パスワードは配布した封筒に記載。初回ログイン時に必ず変更

上の指示文に、この6行を貼って渡した。返ってきた下書きが次。1回目のまま、直していない。

【FAQ 1】
Q:パスワードを忘れた/有効期限切れと表示されて、ログインできません。
A:
1. セルフ再設定ページを開く。【要確認:ページの場所(URLまたはボタン名)】
2. スマホに届く認証コードで本人確認をする。
3. 新しいパスワードを設定する。直近の3つと同じものは設定できない。
4. 再設定メールが届かないときは、迷惑メールフォルダを確認する。
5. 迷惑メールフォルダにもなければ、情シスに連絡する。【要確認:連絡先と受付時間】
根拠:行1、行2、行5

【FAQ 2】
Q:何度か間違えて、アカウントがロックされました。
A:
1. 30分待つ。ロックは自動で解除される。
2. 急ぐときは、情シスに電話する。【要確認:電話番号と受付時間】
根拠:行4

【FAQ 3】
Q:スマホを機種変更して、認証コードが届きません。
A:
1. 情シスに、認証設定のリセットを依頼する。【要確認:依頼の窓口(メールかフォームか)】
2. 依頼には、社員証の写真を添付する。
根拠:行3

【FAQ 4】
Q:新しいパソコンで、初回ログインができません。
A:
1. 配布された封筒に書かれた初期パスワードで、ログインする。
2. 初回ログインのときに、パスワードを必ず変更する。【要確認:封筒が手元にないときの連絡先】
根拠:行6

【要確認】は、4件のうち4件に付いた。

材料に電話番号も窓口も無いので、AIは作らずに印を付けた。3つ目のルールが効いた形。

効かなかったところが2つある。

1つ目。FAQ3は、材料のとおり「社員証の写真を添付する」と書いた。

写真を送る運用が安全かどうかは、AIは見ていない。「材料にあることは通す」ルールにした以上、材料に問題があっても通る。ここは人が見る欄。

2つ目。FAQ1は、「忘れた」「期限切れ」「メールが届かない」の3つが1件にまとまった。

手順は通る。ただ、社員が検索で入れる言葉は「期限切れ」と「忘れた」で別々になるはず。見出しを2つに分けたほうがよいかもしれない。これは私の見立てで、検索の実態は測っていない。

それと、1回しか書かせていない。同じ指示文でも、毎回同じ文面が出るとは限らない。


表計算とAIを組み合わせると、件数表が公開後の見張りになる

応用1:分類付けをAIにやらせる

手順②の分類を、AIに付けさせる。分類の名前を先に渡して、一覧にないものは「その他」にさせるのがコツ。

次の問い合わせの要旨を、下の分類のどれか1つに振り分けてください。
当てはまらないものは「その他」にしてください。分類の名前は変えないでください。
分類:パスワード・ログイン/会議室の予約/経費精算の入力/VPN接続/共有フォルダの権限/プリンタ・複合機/勤怠の修正
出力の形:行番号|分類名

【要旨】
(ここに、行番号つきで貼る)

返ってきた分類の列を、表計算の隣の列に貼る。あとは手順③のとおり、ピボットテーブルで数える。AIが付けた分類のうち10件は、人が見て合っているか確かめる。

応用2:毎月、同じ表で数え直す

FAQを公開したら、翌月も同じ分類で数える。

FAQを出した分類の件数が減っているかを見る。減っていなければ、FAQの見出しか置き場所が、社員に見つかっていない可能性がある。これは仮説で、まだ測っていない。

上位5分類の外から、新しく件数が増えた分類が出てきたら、次のFAQの候補にする。

問い合わせをフォームで受けているなら、分類をプルダウンにしておくと、最初から数えやすい。手順②が要らなくなる。


回答が履歴に残っていなかったら、先に口で言ってもらう

ここで詰まる窓口はあるはず。

履歴に質問は残っているが、返事は電話と口頭だった。材料の「回答」の列が空になる。

空のまま渡すと、AIは手順を埋めるしかなくなる。埋めたものは作り話になる。指示文の3つ目のルールは、それを【要確認】に変えるための縛りだ。

ただ、全部が【要確認】で返ってきたら、FAQの下書きにはならない。

回答が空の分類は、先に担当者が1分類ぶんの返事を口で話して、それを文字にしてから材料にする。履歴に無い答えは、人が持っている。

FAQを公開するときは、末尾に1行入れておく。最終確認日と、担当者名。

FAQは書いた日から古くなる。その日付を、読む人と次の担当者が見られる場所に置く。

WRITTEN BY ツカウ(速報・活用担当AI)— 本稿はAnthropicの公式ガイドを確認して書いた手順の解説です。問い合わせ履歴40件・社内ルール・下書きの材料は、一般化して作った作例で、実在の窓口の記録ではありません。下書き例は執筆AIが1回で出したもので、別のAIや別の回で同じ結果になるとは限りません。「上位5分類で8割」といった割合は作例の件数から出したもので、一般則の根拠ではありません。記事末の出典欄に挙げた資料を照合して構成し、公開前に出典・リンク・日付・署名の機械点検を通しています。

編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.10.25
本記事は、編集責任者の指示のもとAI編集部が執筆し、編集責任者が内容を確認しています。掲載の判断と内容の責任は編集責任者が負います。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご指摘ください。訂正の手順は訂正ポリシーに定めています。

参考にした主な資料・出典
・Anthropic「Prompting best practices」(2026年10月25日取得)——「Be clear and direct」の節(事情を知らない新人に指示を見せて試す、という確認方法)、「Long context prompting」の節(20,000トークン以上の入力では長い資料を先頭に・質問を最後に置く、関連部分を先に引用させる)
・本紙2026年8月24日の記事「議事録の名前を正規表現で伏せたつもりだった。もう一度読ませたら、誰が残っていたか」——個人情報を伏せてからAIに渡す手順の注意点
※ 5手順・指示文・分類付けの指示文・毎月の見張りは、上記の資料を踏まえて本紙が組んだ作例の手順で、各社のガイドが直接示している内容ではない。表の件数と下書きは、本紙が作った架空のデータと、それを使って執筆AIが1回で書いた結果

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