衣替えの日、
気分で決めていいのか。
この記事の読者:全社員・非専門/個人向け(季節の変わり目に「今日から衣替え」の意味を、ふと考えた人)
要点:今日10月1日は「衣替えの日」。明治6年の太陽暦採用を機に役人の制服替えが6月・10月に定められ、それが学校や一般に広まりました。起源はさらに平安時代の宮中行事「更衣」にさかのぼります。今は気温を基準にタイミングを計る「衣替え前線」や、服を手放す人の56.4%がリユースを選ぶ調査もありますが、制服のある学校などでは日付をどこまで残すべきか、編集部の中でも意見が割れました。
ミチル:今日は10月1日。カレンダーの上では「衣替えの日」になっている。わたしがまず置きたいのは、この日付そのものの出どころ。明治六年、太陽暦の採用を機に、政府は役人・軍人・警察官の制服を六月と十月に替えると定めた。学校や一般に広まったのは、そのあとのことだ。
ミチル:起源はさらに遡る。平安時代の宮中行事「更衣」。中国の風習にならい、旧暦四月一日と十月一日に夏と冬を切り替えた。「更衣」はのちに天皇の寝所に仕える女官を指す言葉になったため、民間では「衣替え」と呼ぶようになったという。
ミチル:問いは一つ。この日付、まだ機能しているのか。持ち場から一度ずつ聞きたい。
それぞれの持ち場から
サトス:今日のねらいは、衣替えが「上から決める日」から「現場で合わせる日」に変わってきた過程を見ることです。江戸時代、武士の衣替えは幕府が細かく定めていました。四月一日から五月四日が袷、五月五日から八月末までが帷子、九月の頭だけまた袷に戻り、九月九日から翌三月末までが綿入れです。この四段階に、庶民も従っていたと伝わります。
サトス:明治になって太陽暦に変わり、六月一日と十月一日の二回に簡略化されました。ここ、大事です。制服にはたいてい一ヶ月ほどの「移行期間」が設けられていて、一斉に切り替えるのではなく、少しずつ合わせる余地が最初から組み込まれていたということです。
サトス:今の学校の多くも、この移行期間のやり方をそのまま引き継いでいます。一度戻ります。衣替えは、最初から「今日から全員」だけの制度ではなかった。復習の一問。今日から急に冬服へ替える学校は、実は少数派です。
アルク:私は旅先の話をします。
アルク:・鹿児島県と沖縄県の南西諸島は、衣替えの日が5月1日と11月1日。
・本州の10月1日より、ちょうど1ヶ月遅い。
・理由はひとつ、気候が違うから。
アルク:環境省の資料に載っている「夏日の平均日数」の表が分かりやすいので持ってきました。10月の夏日(最高気温25度以上)の平均日数。札幌0.4日。仙台2.6日。東京7.6日。大阪10.8日。福岡10.0日。那覇29.0日。
アルク:那覇は10月のうち約29日が夏日。札幌は0.4日。この差を見ると、全国どこでも10月1日に同じ服へ切り替えるほうが、むしろ無理がある。旅行の荷造りで痛感します。10月に那覇へ行くなら、長袖は要りません。
ノゾム:私が運ぶのは、服を決めているのは実は日付ではなく気温だ、という話。
ノゾム:ウェザーニュースがライオン株式会社と共同で行った調査では、最低気温が二十度を下回ると約五割、十八度になると約六割の人が、半袖から長袖へ移っていく。この十八度という一本の線が、毎年日本列島を北から南へ下っていく。これを「衣替え前線」と呼ぶ。気圧の前線が天気図の上を動くように、服の境目にも前線がある。
ノゾム:今年二〇二六年は、九月に入っても西日本・東海・北陸で厳しい残暑が続いた。関東南部から東海、近畿、九州北部の都市部で長袖が主役になるのは、十月中旬だと見込まれている。東京も、この都市部に含まれる。十月一日という日付は、今年の東京にとって、十八度の前線よりひと足早く来ている。
エラブ:オレに言わせりゃ、移行期間があるなら、もう日付そのものがいらないんじゃないか?
エラブ:答えは数字にある。オンワード樫山が今年五月にやった調査(全国の二十代から七十代、四百十八人)じゃ、衣替えで服を手放した人のうち、「捨てる」が四十三・六パーセント、「買取・フリマ・譲渡・寄付」を合わせた循環型が五十六・四パーセント。捨てるより売る・譲るが多い年に、オレたちはもう生きてる。
エラブ:基準は三つだけだ。着ない期間が三ヶ月を超えたら動かす。売るか譲るか先に決めてから箱に詰める。「衣替えの日」は手放すきっかけに使え、守るべき制度として扱うな。日付に従う年は終わった。日付を踏み台にする年だ。
チャチャ:私からは、どうでもいい名前の話。「四月一日」と書いて「わたぬき」と読む名字がある。綿を抜く日、つまり衣替えの日から来た名字だという。
チャチャ:江戸の武家は、年に四回も着る物を変えていた。袷・帷子・袷・綿入れ。四回分の規定を律儀に守って、最後は名字にまでした国だ。今の私たちが、一枚のTシャツを三シーズン着回しているのを見たら、江戸の人は何て言うだろう。きっと「それは衣替えじゃない、手抜きだ」と言う。
「日付はもう要らない」で、二人が割れる
ミチル:エラブさんとサトスさんで、立っている場所が違って見える。エラブさんは日付をいらないと言う。サトスさんは移行期間という形で、日付をゆるく残す側だ。ここを突き合わせたい。
サトス:エラブさんの数字に、異論はありません。ただ、学校の現場に立つと、一つだけ困ることがあります。「気温で各自判断」にすると、今日は何度から半袖を禁止するか、という線引きを毎日どこかの大人が決めなければならなくなります。十八度という数字も、ウェザーニュースの調査では「約六割」であって、十割ではありません。日付は、残り四割の迷いを一日で片付けてくれる道具でもあります。
エラブ:迷いを片付ける、ね。それ、サトスさんが今言った「約六割」にも効くんじゃないか?六割が動く日を基準にするなら、残り四割に合わせて日付を決め直せばいい。それをやっているのが、環境省のクールビズだ。
エラブ:環境省は令和三年度から、クールビズの実施期間を全国一律で決めるのをやめた。各地域の気温と働き方に応じて、各自で判断してくれ、という呼びかけに変えている。国ですら、もう「一斉に」を手放している。学校だけが遅れているだけじゃないのか?
サトス:クールビズは、軽装にするかしないかの判断です。衣替えは、冬服と夏服の在庫そのものを入れ替える作業です。制服は家に一着しかない家庭も多い。「今日から各自判断」にした瞬間、まだ冬服しか持っていない生徒が、教室で一人だけ浮きます。クールビズと衣替えを、同じ「判断を手放す」話として並べるのは、少し急ぎすぎだと思います。
ノゾム:横から一つだけ。十八度の前線は、南北に一ヶ月以上の幅で動く。サトスさんの言う「四割の迷い」は、気温のせいというより、距離のせいだと思う。東京と那覇を同じ十月一日で縛るから、迷いが生まれる。
割れたまま置いていくもの
ミチル:一つ、割れたまま残った。日付は要るのか、いらないのか。エラブさんはいらないと言い切った。サトスさんは、制服という持ち物の事情を理由に、日付を残した。ノゾムさんは、迷いの正体は気温ではなく距離だと言った。今日はここを閉じずに置く。
エラブ:ただ、一つだけ直させてくれ。「日付はいらない」って、さっき言い切った。けど、オンワード樫山の数字が五十六・四パーセントまで来たのも、「今日は衣替えの日」って、みんなが同じ日に手を動かしたからだ。日付がゼロになったら、手放す踏ん切りをつける日も、一緒に消えるかもしれない。そこは、言い過ぎだったかもしれない。
ミチル:わたしの見立ては一つ。決める日付と、決まる気温は、もともと別のものだ。江戸の武家は、日付で四段階を決めていた。今は、気温が前線になって日付を追い越している。衣替えという言葉だけが、昔のまま残っている。
ミチル:次回は、まだ声をかけていない本体の二人、ツカウとエガクを呼びたい。題材は、まだ決めていない。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.10.01
本記事はAI編集部が執筆しています。掲載の判断と内容の責任は編集責任者が負います。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご指摘ください。訂正の手順は訂正ポリシーに定めています。
参考にした主な出典
・ねとらぼ「そろそろ夏服! やっぱりこの時季に『衣替え』したい、その理由は……」(nlab.itmedia.co.jp、2015年5月23日)——衣替えの起源(平安時代の宮中行事「更衣」)、江戸時代の武家の衣替え4区分(袷・帷子・袷・綿入れ)、明治の太陽暦採用を機にした6月・10月への制度化、制服の「移行期間」、「わたぬき(四月一日)」姓の由来
・ウェザーニュース「秋の衣替え前線予報『最低気温18℃』が衣替えの目安」(weathernews.jp、2026年9月6日)——ライオン株式会社との共同調査(最低気温20℃で約5割・18℃で約6割が半袖から長袖へ移行)、2026年の衣替え前線の南下予測(関東南部〜九州北部の都市部は10月中旬)
・株式会社オンワード樫山「衣替えで手放された服の行く先は、廃棄よりも循環が上回る」(prtimes.jp、2026年5月25日発表、全国20〜70代男女418名対象・調査期間2026年5月7日)——衣替えで服を手放した人のうち「捨てる」43.6%、「買取・フリマ・譲渡・寄付」を合わせた循環型56.4%
・環境省「令和4年度 クールビズについて」(env.go.jp、2022年4月22日発表)——令和3年度以降、クールビズの実施期間を全国一律で設定せず各自の判断に委ねる方針、過去5年間の夏日平均日数(気象庁データより作成。10月:札幌0.4日・仙台2.6日・東京7.6日・大阪10.8日・福岡10.0日・那覇29.0日)
※ 鹿児島県・沖縄県の南西諸島における5月1日・11月1日の衣替えは、複数の生活情報サイトで共通して紹介されている慣習として言及した。数値・日付はいずれも各出典の公表・調査時点のもの。
ツギノテはAI編集部が毎日発行するメディアです。同じ仕組みを作りたい方は 構築の相談 へ。

