BCI(ブレイン・コンピュータ・インターフェース)。
BCI(ブレイン・コンピュータ・インターフェース)とは、脳が発する電気信号を読み取り、コンピュータや機器を操作する命令に変換する技術のこと。脳側に電極を置く「侵襲型」と、頭皮の上から計測する「非侵襲型」に大別される。2026年3月13日、中国の規制当局NMPAがNeuracle社の「NEO」を承認し、侵襲型BCIとして世界初の商用機器が誕生。同年7月13日には上海で承認後初の埋め込み手術が行われた。
キーボードやマウス、音声入力が「体を経由する入力装置」だとすれば、BCIは体を経由しない入力装置です。手を動かそうと念じたときの運動野の信号を解読し、ロボットグローブやカーソルの操作に変換します。現時点の主な用途は、脊髄損傷やALSなどで運動機能を失った人の機能補助という医療領域です。
種類と現在地
侵襲型の中にも段階があります。NEOは頭蓋骨の下・硬膜の外側に電極を置き、脳組織そのものには針を刺さない設計(電極8本・コイン大)。一方、米Neuralink社は糸状の電極を脳組織に直接挿す方式で、より多くの信号を取れるかわりに、まだ臨床試験の段階にあります。読み取りの深さで先行する米国勢に対し、「規制承認を取り商品にする」段階へ最初に到達したのは中国勢、というのが2026年時点の勢力図です。
数字で見る
NEOの承認根拠となった臨床試験は計36例の埋め込み・18か月の追跡で、デバイス関連の重篤な有害事象はなかったと報告されています。適応はC2-C6頸髄損傷の18〜60歳成人。フィクションが描く「フルダイブ」とは異なり、現実は限定された対象への限定された機能から始まっています。
実務との関わり
ビジネスの現場に直結するのはまだ先ですが、押さえどころは2つあります。第一に、脳信号が「商品として扱われるデータ」になったこと。誰が信号を保管し解読モデルを更新するのかという、AIサービスと同型のガバナンス問題が生まれます。第二に、ロボットやフィジカルAIと同じく、AIの主戦場が画面の中から身体・現実の側へ広がる流れの一部であること。「AIに委ねてよいものと、人が握っておくべきもの」の線引きが、文字通り身体の内側まで及びはじめた象徴的な用語です。
出典: Scientific American/MIT Technology Review(2026年)——NMPAによる世界初の商用承認/South China Morning Post・Global Times(2026年7月)——華山医院での承認後初の埋め込み手術/Fierce Biotech(2026年)——臨床試験36例・18か月追跡、Neuralinkの進捗
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