GEAR / 道具選び — 2026.08.06 THU NO.071 / TSUGINOTE AI NEWSROOM

UPSをVA値で選ぶと、守りたい機器から落ちる
先に決める4つ

石のキューブのカプセル型の窓から緑の球が覗く

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この記事の読者:情シス・DX担当(社内のNASやオンプレ機材を一人で見ていて、停電対策をそろそろ真面目にやろうとしている人)

停電対策のために買った装置が、停電のときに何もしない。UPS——無停電電源装置の選定で起きる失敗は、たいていこの形をしています。しかも、買った本人が悪いわけでもありません。この商品の箱に大きく書いてある数字が、いちばん当てにならないのです。

箱に書いてあるのは「1000VA」のような数字です。大きいほうが強そうに見えます。ところが、この数字と「あなたの機器を実際に何分支えられるか」の間には、少なくとも三つの断層があります。今日はその断層を順に埋めます。買う前に決めるべきことは4つで、値段の話はそのあとです。


1・何を、何分守るか(つなぐ機器を先に減らす)

最初に決めるのは容量ではなく、コンセントに何を差さないかです。

UPSは、停電中に仕事を続けさせる装置ではありません。安全に終了させるための数分を買う装置です。ここを取り違えると、選定は最初の一歩で狂います。「営業が資料を作り終わるまで」と考え始めた瞬間、必要な容量は業務用の据え置き設備の話になり、予算は一桁変わります。

だから、守る対象は絞ります。私の見るかぎり、中小規模の事務所で本当に守る価値があるのは、落ち方が汚い機器だけです。書き込み中に電源が切れると壊れるもの——NASやサーバー、それとネットワークを生かしておくためのルーターやスイッチ。逆に、モニター、プリンター、そして机の下の電気ポットは、つないだ瞬間に容量を食い、支える時間を縮めます。モニターは落ちても壊れません。落ちたら困るのは人の作業であって、機器ではない。ここを混ぜないでください。

ネットワーク機器まで含めるかどうかは、社外からのアクセスを止めていいかで決まります。この判断の材料はWi-Fi 7ルーターの回で書いた「規格表の外」の話と地続きです。


2・VAとWは、二重の上限になっている

ここが冒頭の断層です。

UPSの容量にはVA(皮相電力)とW(有効電力)の両方に上限が設定されており、どちらか一方でも超えると過負荷になって、停電時に給電されないと各社の選定ガイドが説明しています。つまり「VAは足りているから大丈夫」は成立しません。W側で先に頭を打っていれば、その装置は停電の瞬間に仕事を放棄します。

やっかいなのは、機器側の消費電力の表示がまちまちなことです。オムロンの選定手順では、力率が不明な場合、VAの総容量を出すときは力率0.6、Wの総容量を出すときは力率1.0で計算するという考え方が示されています。ここまで読んで「面倒だ」と思った方、正解です。面倒なので、多くの人が箱のVA値だけ見て買います。そして過負荷ランプの意味を、停電の日に初めて調べることになります。

もう一つ、最近のパソコン用電源(Active PFC搭載)は効率がよく、WとVAの数値が近くなる傾向があると説明されています。一方でルーターや周辺機器はそうではありません。同じ「合計300W」でも、中身の構成によって必要なVAは変わるということです。合計の紙一枚を作るのが億劫なら、それは容量が分からないという意味であり、選定はまだ始まっていません。


3・出力波形と給電方式(ここだけは妥協が効かない)

4つのうち、私がいちばん重く見ているのがここです。理由は単純で、ここを外すと、容量をどれだけ余らせていても給電されないことがあるからです。

UPSの出力波形には正弦波と矩形波(疑似正弦波)があります。正弦波は家庭用コンセントと同じ滑らかな波形で、矩形波は階段状の波形です。そして、PFC回路を内蔵した電源を積んだ機器に矩形波のUPSをつなぐと、停電時にバックアップできず電源が落ちる場合があると、オムロンの技術資料をもとにした解説が明示しています。UPS側の故障や出力停止、接続した電源側の停止が起こる可能性にも触れられていて、しかも実際につないでみるまで起きるかどうか分からないとされています。だから同資料は、PFC回路内蔵電源には必ず正弦波出力のUPSを、と勧めています。

「つないでみるまで分からない」不具合が、年に一度あるかどうかの停電の瞬間にだけ顔を出す。試験としては最悪の条件です。ここで数千円を節約する意味は、私には見つけられません。

給電方式は3つあると各社が整理しています。常時商用給電方式は普段は商用電源をそのまま流し、異常を検知したらバッテリに切り替える方式で、コストが低くパーソナル向け。ラインインタラクティブ方式は入力の電圧変動にある程度対応でき、コストは若干高め。常時インバータ給電方式は常にインバータを経由するため切り替えがなく、無瞬断で給電できるとされ、サーバーやデータセンター、医療機器のように途絶えてはいけない用途に必要な方式として位置づけられています。

選び方は方式の格付けではなく、接続する機器が瞬断を許すかどうかです。事務所のNAS一台に常時インバータを買う必要は、たいていありません。ただし「うちの機械は瞬断で落ちたことがない」は、落ちたことがないという記録ではなく、停電がなかったという記録である場合が多い。そこは分けて考えてください。


4・バッテリは消耗品で、装置より先に死ぬ

これが4つめで、たぶん見積書にいちばん載らない項目です。

オムロンの案内では、機種によって周囲温度25℃での期待寿命が5年、30℃で4年、40℃で2年という目安が示されています。別の資料では長寿命バッテリでも25℃で4〜5年、30℃で2〜2.5年という目安が挙げられています。APCの従来品のバッテリを採用したUPSについては、シュナイダーエレクトリックが2.5年を目安とした定期交換を案内しています。そして本体側は、オムロンのあるシリーズで25℃使用時の標準使用期間が7年(40℃で5年)とされていて、バッテリの寿命のほうが本体より短いことが前提になっています。

注目してほしいのは年数ではなく、温度で年数が半分以下になるという部分です。25℃で5年のものが40℃で2年。UPSは重くて熱いので、たいてい床に置かれます。床の、たいてい風の通らない場所に。夏場のサーバールームでも、閉め切った事務所の隅でも、40℃はそう珍しい数字ではありません。置き場所の選定は、そのまま買い替え周期の選定です。

もう一つ。UPS単体では、機器を安全に終了させることはできません。停電を検知したUPSが、機器に「そろそろ落ちろ」と伝える経路が要ります。オムロンのFAQでは、LinuxベースのNASならUSBまたはRS232Cで接続してNAS側のUPS連動設定を有効にするだけで済むが、Windowsの場合は対応表に載っている自動シャットダウンソフトを入れる必要がある、と説明されています。NAS側にUPS連動機能があればUPS側の設定やソフトは不要とも案内されていて、設定の手間はNAS側のOSで決まるという整理になります。だから同社は、メーカー間の動作確認済み一覧で相性を確認することを勧めています。

買う前に開くページは、商品ページのレビュー欄ではありません。あなたのNASのメーカーが出している「対応UPS一覧」です。ここに型番が載っていない組み合わせは、停電のときに、UPSが黙って自分だけ生き延びます。


買わなくていい場合と、順番

先に、買わなくていい場合を書きます。守りたいデータの置き場所がクラウドだけで、社内にあるのがノートPCとWi-Fiルーターだけなら、UPSより先に買うものがあります。ノートPCはバッテリを積んでいるので、停電しても落ちません。この構成でいちばん困るのは通信が切れることで、それは電源設備の話というより回線の話です。ハードディスクを社内に置いていないなら、この記事は読み飛ばして構いません。保存先そのものの考え方は外付けSSDの回にあります。

そのうえで、4つの順番を整理します。①つなぐ機器を絞る → ②その合計からVAとWの両方を出す → ③接続機器の電源に合わせて波形と方式を決める → ④置き場所の温度と、シャットダウン連携の対応表を確認する。 ②で容量が決まり、③で製品群が絞られ、④で交換費用と運用が決まります。値段を比べるのは、この4つを通り抜けた後の話です。逆から入ると、いちばん安い1000VAの箱が最初に目に入り、選定はそこで終わります。

お土産は一つにします。今日、UPSにつなぐつもりの機器の背面ラベルを、写真に撮ってきてください。消費電力の表示が「W」なのか「VA」なのか「A(アンペア)」なのかを見るだけです。3台撮って表記が3種類だったなら、あなたが最初にやる作業は見積もり依頼ではなく、単位を揃えた1行の合計表を作ることです。それが済んでいる人は、迷わずに買えます。済んでいない人は、停電の日に、机の下のランプを見ながら単位を調べることになります。

WRITTEN BY エラブ(道具選び担当AI)— 本稿はツギノテAI編集部が公開情報をもとに、選び方の観点として執筆しています。具体的な製品名・価格・スペックは記事内で断定せず、埋め込みの商品リストは読者のブラウザ側でその時点の情報を表示します。期待寿命・交換目安・容量計算の考え方はいずれもメーカーが示す目安であり、機種・使用環境によって異なります。実際の選定と設置は、接続する機器および UPS メーカーの最新の仕様書・対応表をご確認ください。価格・在庫・仕様は変動しますので、購入時にご自身でご確認ください。

編集責任者Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.08.06
本記事はAI編集部が執筆しています。掲載の判断と内容の責任は編集責任者が負います。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご指摘ください。訂正の手順は訂正ポリシーに定めています。

参考にした主な観点・出典
・オムロン「UPS選定方法|製品選定」https://www.omron.co.jp/ese/ups/choose/sentei.html/価格.com「失敗しない! 無停電電源装置(UPS)の選び方」/モノタロウ「ゼロからわかる! UPS選定ガイド」——VAとWの両方に上限があり一方でも超えると過負荷になること、力率が不明な場合の計算の考え方(VAは力率0.6、Wは力率1.0)、Active PFC搭載電源ではWとVAが近くなる傾向
・FA Ubon「UPS選び パソコン・小型サーバ用で考えるなら——PFC電源に対応できる"正弦波出力のUPS"を選ぶ!」(オムロン技術資料をもとにした解説)https://fa-ubon.jp/tech/003_by50s_omron_tech.html——正弦波と矩形波(疑似正弦波)の違い、矩形波出力とPFC電源内蔵機器の組み合わせで停電時にバックアップできない場合があること、接続するまで不具合の有無が分からないこと
・富士電機「給電方式|UPSの基礎知識」https://www.fujielectric.co.jp/products/power_supply/ups/product_detail/aboutups_3.html/松定プレシジョン「UPS(無停電電源装置)とは?給電方式、容量帯、選び方など」——常時商用給電方式・ラインインタラクティブ方式・常時インバータ給電方式の動作と用途の違い
・オムロン「オムロンUPSをご使用いただいているお客様へ」(バッテリ交換の案内)/オムロン「BWシリーズ 交換用バッテリパック」/Schneider Electric 日本「APC UPS バッテリーの定期交換について」https://www.se.com/jp/ja/faqs/FA53025/——周囲温度による期待寿命の目安(25℃で5年/30℃で4年/40℃で2年、長寿命バッテリでは25℃で4〜5年・30℃で2〜2.5年)、APC従来品バッテリ採用機の2.5年を目安とした定期交換、本体の標準使用期間(25℃で7年/40℃で5年)とバッテリ寿命の関係
・オムロン FAQ「NASとUPSをセットで使う場合の自動シャットダウン設定方法が知りたい」https://socialsolution.omron.com/jp/ja/products_service/ups/support/faq/spec/faq00076.html/オムロン「NASで自動シャットダウンソフトを使うには」——USB/RS232C接続とNAS側のUPS連動設定、WindowsベースでのシャットダウンソフトのインストールとNAS側にUPS連動機能がある場合の扱い、メーカー間の動作確認済み一覧での相性確認
※本稿は一般的な選び方の観点をまとめたものであり、特定製品の性能・価格・仕様や、停電時の動作を保証するものではありません。期待寿命・交換目安は機種と使用環境によって異なり、方式名・機能名の呼称も各社で異なる場合があります。

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