2.4兆パラメータのQwen3.8-Maxが正式公開
自社に置ける候補は、同時に予告された27B。
この記事の読者:情シス・DX担当(「オープンなAIが出たらしいが、うちのサーバーで動かせるのか」と社内から聞かれた人)
2026年8月3日、Alibaba CloudがQwenファミリーの最上位モデル「Qwen 3.8-Max」を正式リリースしました。総パラメータ2.4兆、100万トークンの文脈窓、テキストに加えて画像・動画も入力できます。
報道の見出しは「オープンウェイト」に寄っています。ただ、あなたが今日この話を社内で受けるなら、先に分けておくものがあります。8月4日時点で実際に手に入るのは、QwenCloudのAPIだけです。重みの公開は「来週予定」と告知された段階で、ライセンス条文も出ていません。
そして「自社サーバーに置く」という話になったとき、候補になるのは2.4兆パラメータの本体ではありません。同時に予告された、もう一つの小さい型番です。
配られているものを3つに分ける
ここを混ぜると、社内の会話が噛み合わなくなります。
| もの | いまの状態 | できること |
|---|---|---|
| Qwen3.8-Max のAPI | 正式提供中(QwenCloud) | 今日から評価できる。従量課金 |
| Qwen3.8-Max の重み | 公開は来週予定。ライセンス未公表 | 手に入っても、動かすにはデータセンター級の複数ノードが必要 |
| Qwen3.8-27B の重み | 同じ告知で公開予告。同じくライセンス未公表 | 通常のオンプレGPUに載るサイズ。社内設置の現実的な候補はこちら |
27B版の予告は、公式ブログよりQwenのXでの投稿で先に触れられたもので、報道でもそちらが引かれています。「Maxの重みが来るぞ」という話と「社内に置ける版が来るぞ」という話は、別の予定です。
評価だけなら、今日30分で始められる
この発表でいちばん実務的な点は、モデルの賢さではなく接続の手間です。Qwen3.8-MaxはOpenAIのChat Completions/Responses形式と、AnthropicのAPI形式の両方に対応しています。すでにどちらかで社内ツールを書いているなら、差し替えるのはベースURLとモデルIDの2か所で足ります。
触るときに知っておくと迷わない設定が2つあります。
1.推論の深さを3段階で選べる。 reasoning_effort に low/medium/xhigh を渡します。既定値は xhigh(複雑なタスク向けの徹底分析)です。何も指定しないといちばん重い設定で走るので、単純な整形や分類に投げると出力トークンが伸びます。まず low で試してから上げてください。
2.preserve_thinking が全ワークロードで既定オンになっている。 前回の思考を引き継ぐ挙動で、Alibabaは初期設定としてこれを推奨しています。マルチターンの会話で効く設計ですが、1回で完結させたい処理では挙動を確認してから本番に入れるほうが安全です。
なお、評価の段階で社内の実データを流し込むのは待ってください。理由は後述します。
料金表は「長さ」より「先頭」を見る
公表単価は、100万トークンあたり入力2.00ドル・出力6.00ドルです。ここに、実際の請求額を左右する項目がもう1つ載っています。
| 項目 | 単価(100万トークンあたり) |
|---|---|
| 入力 | 2.00ドル |
| 出力 | 6.00ドル |
| 暗黙キャッシュの読み出し | 0.25ドル |
| 明示キャッシュの作成 | 2.50ドル |
| 明示キャッシュの読み出し | 0.17ドル |
キャッシュ済みの入力は、新規の入力より8分の1の単価です。つまりプロンプトを短くする工夫より、プロンプトの先頭を毎回同じ文字列にそろえる工夫のほうが請求書に効きます。社内規程・用語集・出力フォーマットの指定を先頭に固定し、可変部分を後ろに寄せる。RAGを組んでいるなら、検索結果の差し込み位置を末尾に移すだけで単価が変わります。
もう1点。この単価は100万トークンの文脈窓の全域で同じです。多くの上位モデルは、プロンプトが一定の長さを超えると単価が上がる段階制を採っています。Alibaba自身も既存のqwen3-maxなどでは段階制でした。長い文書をまとめて投げる処理では、ここが効きます。入力の上限は99.1万トークン(思考を有効にすると98.3万)、出力の上限は13.1万トークン、レート制限は毎分200万トークン・毎分1.5万リクエストと公表されています。
他社の単価と並べて見たい場合は 生成AI早見表 に主要モデルの月額とAPI単価をまとめています(週次更新)。
ベンチマークは、誰が測ったかを見てから読む
Alibabaは今回、比較表を公表しています。数字の読み方だけ先に置いておきます。
自社の前世代からの伸びは大きく出ています。Terminal Bench 2.1が74.5から86.6、FrontierSWEが40.7から73.5、DeepSWE 1.1が21.6から56.6。一方でGPQA Diamondは92.4から92.6で、ほぼ動いていません。伸びているのはエージェント的な長時間作業と多モーダルで、推論そのものではないと読めます。
他社比較は勝ち負けが混在しています。PaperBench(93.0)とIFBench(82.8)では先頭。Terminal BenchとFrontierSWEではClaude Opus 4.8を上回り、SWE-bench ProとFrontierSWEではClaude Fable 5に大きく届かず、Terminal BenchとDeepSWE、GPQAではGPT-5.6 Solに届いていません。
そして留保が2つ、報道で指摘されています。ベンチマークのうち7本はAlibaba自身が作ったものであること。多モーダルの比較相手が前世代のMaxではなくPlus版になっており、世代間の差が大きく見えやすいこと。自社ランの表としては競合の公表最高スコアを引くなど不自然な下げ方はしていませんが、外部の研究者が重みを触るまで、この表は「メーカー公表値」です。
詰まる場所
ライセンスが出ていない。 Alibabaは重みの公開を「来週」と言った時点で、ライセンス条文とハードウェア要件を公表していません。過去のQwen3系の一部はApache 2.0でしたが、それが今回も同じという保証はありません。商用利用の可否が決まる一点が空白のままなので、この段階で製品計画に入れるのは早いです。
2.4兆パラメータは、たいていの会社では動きません。 疎なMoE構成で1回の推論に使われるのは95Bアクティブとされていますが、チェックポイント全体を保持する必要があるので、複数ノードのGPUクラスタが前提になります。「オープンになったから社内に置ける」は、Maxについては成り立ちません。置く前提で検討するなら27B版を待ってください。
データがどこへ行くかを先に確かめる。 QwenCloudは北京・シンガポール・米バージニアの3リージョンでエンドポイントを提供していると報じられています。日本の会社が業務データを流すなら、越境移転・データ主権・利用規約上のデータ取り扱いを、法務やセキュリティの担当と一緒に確認する順番になります。官公庁案件や取引先の情報セキュリティ基準がかかっている業務では、性能の話より先にここで止まります。だから評価は、社外に出しても困らないダミーデータから始めるのが安全です。
既定値のまま本番に載せない。 前述の xhigh と preserve_thinking は、どちらも「よく考えさせる」側に振られた初期設定です。試算した費用と実際の請求額がずれる原因になります。
持ち帰りは、ひとつだけ
今週決めるのは「使うかどうか」ではなく、ライセンス条文を誰が読むかです。
評価はAPIでいま進められます。導入の判断は、来週出る(かもしれない)ライセンスを読むまで動きません。この2つは担当も期限も別なので、先に人を割り当てておくと待ち時間が無駄になりません。条文が出た日に「誰が読むんですか」から始めると、そこで1週間溶けます。
読む人を決めたら、確認する項目は3つで足ります。商用利用の可否、出力物の権利、再配布と派生モデルの扱い。ここが埋まってから、初めて「27Bを社内に置くか」の検討に入れます。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.08.04
本記事はAI編集部が執筆しています。掲載の判断と内容の責任は編集責任者が負います。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご指摘ください。訂正の手順は訂正ポリシーに定めています。
参考にした主な出典
・AI Watch(インプレス)「『Qwen 3.8-Max』正式リリース。オープンウェイトは来週公開予定」(ai.watch.impress.co.jp、2026年8月4日)——QwenCloudのAPI経由で提供、オープンウェイトは来週公開予定、Qwen 3.5アーキテクチャ基盤で2.4兆パラメータ(95Bアクティブ)、reasoning_effort の3段階(既定 xhigh)、preserve_thinking が全ワークロードで既定有効
・MarkTechPost「Alibaba Qwen Releases Qwen3.8-Max」(marktechpost.com、2026年8月3日)——OpenAI/DashScope互換でベースURLとモデルIDの差し替えで接続可、入力上限99.1万トークン(思考有効時98.3万)・出力上限13.1万トークン、レート制限毎分200万トークン/1.5万リクエスト、単価(入力2.00ドル・出力6.00ドル・暗黙キャッシュ読み出し0.25ドル・明示キャッシュ作成2.50ドル・読み出し0.17ドル)、Qwen3.8-27Bもオープンウェイト予定でオンプレの現実的候補である旨、多モーダル比較がQwen3.7-Plus基準である旨
・H2S Media「Alibaba Open-Sources a 2.4 Trillion Parameter Model. Almost Nobody Can Run It」(how2shout.com、2026年8月4日更新)——2.4兆パラメータは複数ノードのデータセンター規模の資産である旨、100万トークン窓の全域で単価が一定である点、ベンチマーク比較表(Terminal Bench 2.1・FrontierSWE・SWE-bench Pro・GPQA Diamond・DeepSWE 1.1・PaperBench・IFBench)と7本が自社製ベンチである旨、ライセンス・ハードウェア要件・公開日が未公表である旨、QwenCloudが北京/シンガポール/米バージニアの3リージョンでエンドポイントを提供している旨、AnthropicのAPI形式にも対応する旨
・Qwen公式ブログ(qwen.ai)——上記各報道が引用している一次情報。編集部のサンドボックスからは当該ブログ本文を取得できなかったため、本稿は上記報道の引用に依拠しています
※ 本稿の単価・仕様は各報道が引用する公表値です。編集部はAPIを実機で呼び出しておらず、性能・レイテンシの実測値は記載していません。ベンチマークの数値はAlibabaの公表表に基づくもので、第三者による検証を経ていません。
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